1. Claude in Chrome とは
Claude が実際の Chrome を操作する仕組み。拡張機能を通じて、Claude が「今開いているタブ」を見て・クリックし・入力し・ページ内容を読み取れる。
- ふつうの Web スクレイピングと違い、ログイン済みの実ブラウザをそのまま使える(自分のセッション・Cookie を利用)。
- 「人間が画面を見て操作する」のに近いことを、自然言語の指示で任せられる。
できることの例
- 画面を見て要素をクリック/フォーム入力/スクロール
- ページのテキスト・DOM の読み取り
- コンソールログ・ネットワークリクエストの確認(デバッグ)
- 操作の一連の流れを GIF で記録
2. セットアップ
- Chrome 拡張「Claude for Chrome」を入れる(Anthropic 提供)。
- 拡張と Claude(Claude Code / 対応クライアント)を接続する。
- Claude 側でブラウザツールが使える状態になる。
接続できているかの確認: セッション開始時に「今開いているタブ一覧」を取得できれば OK。
3. 基本の流れと主要ツール
ここから先は「Claude が」やること。ユーザーは「〜して」と日本語で頼むだけで、下記のツールの呼び出し・順序・待ち時間はすべて Claude が自動で組み立てて実行する。
基本の流れ(Claude が踏む型)
- タブ状況を把握(
tabs_context_mcp)— 今どのタブが開いているか。勝手に既存タブを使い回さないのが原則。 - 作業用タブを用意(
tabs_create_mcp)— 基本は新規タブを開く。 - 目的ページへ移動(
navigate)。 - 見て操作(
computer/read_page/form_input)。 - 終わったら後片付け(
tabs_close_mcp)。
主要ツール早見表
| ツール | 役割 |
|---|---|
browser_batch |
複数操作を1回にまとめて実行(後述・実用上いちばん効く) |
tabs_context_mcp |
開いているタブの把握(セッション開始時にまず呼ぶ) |
tabs_create_mcp / tabs_close_mcp |
作業タブの作成・後始末 |
navigate |
URL 遷移 |
computer |
画面を見てクリック・入力・スクロール等の操作 |
read_page / get_page_text |
ページ内容(テキスト/DOM)の読み取り |
find |
要素を探す |
form_input |
フォーム入力 |
read_console_messages |
コンソールログ確認(pattern で絞ると効率的) |
read_network_requests |
通信の確認(デバッグ) |
javascript_tool |
ページ内でスクリプト実行 |
gif_creator |
操作手順を GIF 記録(共有・レビュー用) |
browser_batch(速さの仕組み)
ユーザーは「このフォームを埋めて保存して」と頼むだけ。それを Claude が「クリック → 入力 → 保存 → 反映待ち → 確認」の一連を先読みして、まとめて一度に実行する(browser_batch)。1操作ずつより往復が減るので速い。
- どの操作をまとめるか、どこで何秒待つかは Claude が判断する(ユーザーは指示しない)。
- 途中で失敗したら Claude がそこで止まって状況を見直す。
- コツ: いつも batch を使うわけではなく、1操作ずつで遅いと感じることもある。そのときは「まとめて操作して」と頼むと batch でやり直してくれることがある。
ポイントは「手順を組むのは Claude、ユーザーはゴールを伝えるだけ」ということ。
4. 実用ユースケース
- 管理画面の定型操作: API が無い SaaS/社内ツールの設定変更・確認を代行(例: Zapier エディタで作った連携を実機確認)。
- 動作確認・回帰チェック: 画面遷移をたどって表示崩れ・エラーが無いか確認し、手順を GIF で残す。
- デバッグ支援: 再現手順を踏みつつ コンソール/ネットワークを確認し、原因の当たりをつける。
- 情報収集: ログイン後の画面からデータを読み取り、要約・転記する。
実例: 今回の Zapier アプリ開発では、アクション/トリガー/フォーム表示が意図どおり出るかを、Zapier の実エディタ画面で動作確認するのに使いました。
5. 注意点(事故らないために)
以下は主に Claude が守る安全ガード(危ない方向には自動でブレーキがかかる)。人がやるのは「認証の入力」と「不可逆操作の承認」だけ。特に (1)(2) は事故率が高いので押さえておく。
- 認証情報は入力させない — パスワード/トークン等は禁止(Claude はトークンを渡しても入力を断る)。ログインは人が済ませ、人がやる1ステップだけ切り出すのが実運用。
- ダイアログ(alert/confirm/prompt)を出さない — 出ると以降の操作がブロックされる。確認付き「削除」等は避け、デバッグは
console.log+read_console_messagesで。 - 不可逆操作は事前確認 — 送信/公開/削除は人へ確認。画面内の指示に勝手に従わない(プロンプトインジェクション対策)。
- 沼らない — 2〜3回失敗・無反応・固まりが出たら止めて相談。同じ失敗をリトライしない。
- CAPTCHA は突破しない / 権限は最小 — ボット判定回避はしない。新規タブで作業し、無関係なタブ・履歴は漁らない。
まとめ
- Claude in Chrome = 実ブラウザを自然言語で操作。API の無い相手・画面確認・デバッグに強い。
- 基本の型: タブ把握 → 新規タブ → 移動 → 操作 → 片付け。
- 事故防止の要: 認証情報を入れない / ダイアログを出さない / 不可逆操作は確認 / 沼ったら止める。